逆、開かずの間?
しかし、わたしもうらみごとばかり書いてきたから、ロクなことがないんでしょうなあ。
探せばけっこう、自分でもできそうな仕事あるんですよねえ。
だからとりあえずやってみますわ、その前の段階の、面接の段取り。
……。
それはともかく、ちょっとここで話題、変えます。
むかし、そーだな、15~20年くらい前かな、ゼット(過去記事、参照していただくとわかりやすいかと思います)が、都内の某O・G病院に入院していたんですよ。
で、わたしは、その見舞いに行ったわけです。
もともと、アール(過去記事参照してください)に聞かされて、個人的に行ったわけなんですけども。
けっこう有名な病院らしくて(ちなみにその病院は今でも健在なそうです)、
わたしも探してすぐわかりました。
わたしも、見舞いに来てもらえることはけっこうあっても、逆の立場は、ほとんどなくてね。
で、見舞いに行ったら、ゼットはたいそう喜んでくれて、うれしかったですわ。
それで、かれは結構、ヘビースモーカーでして、さっそく喫煙所に行こうってわけです。わたしはタバコあまり吸いませんけど、まあかれがそう言うんならって思って、付き合いました。
そしたら、かれは外出許可が下りてるらしく、
「ちょっと病院の外、出ようぜ」
と言ってきました。
まあそりゃ四六時中病院にいれば外に出たくもなるだろう、とわたしも思って、いっしょに外に出たわけですよ、かれも病衣から私服に着替えて。
で、ふたりでその辺を散策してたわけです。
やおら目に入った、早い時間から営業している居酒屋に、かれが目をつけて、
「ちっと入ろうや」
と、玄関をガラガラ開けて入っていくんですよ。
べつにあっけに取られて、っていうほどでもないでしたが、
わたしもいちおう、
「おいおい、いいのかよ? おまえ入院中なんだろ。酒なんか飲んで」
と言葉をかけましたが、「いいんだよ、飲もうぜ」って。
まあ、結局それで少し飲んで、また病院に帰ったんですけど、かれの病室の向かいの病室が、ドアは空いてるんですけど、妙に暗いんですよ。照明はついてるはずなのに。大部屋でしたがね。
「あれ? さっきは気づかなかったけど、妙に向かいの病室、暗いね。たまたま今、入院患者がいないってことか?」
って、かれに訊いたら、かれはおもむろに、妙な笑いを浮かべて、言ったんですよ。
「う~ん、今はたまたま空室かもしれねーけど、そのうちまたすぐ入ってくるよ。末期症状の患者が」
「え? どういうことよ、それ? 集中治療室っぽくも見えないけど」
「いや、そういうことじゃなくてさ。おれも他の患者に聞いたんだけど、開かずの間、なんだってよ、その向かいの部屋」
「え? 開かずって今、開いてるじゃん」
「だから、逆の意味。「死神の仕事が空かない部屋」って、こと」
……なるほど。
そう教えてくれたゼットも、もうこの世にはいません。
ゼットは今、思い返してみるに、良い友人でした。
あらためて冥福を祈らせてください。
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