戦記マニアのギネス
夢。
小さな工場、あるいは倉庫らしき建物の中に、おれは、いる。
ツレが二人いた。「モヒカン」(かれについては、過去記事「モヒカン」で検索して参照していただくと、よりわかりやすいかと思います)と、今回初登場の「ギネス」(仮名。言うまでもないことですが、ギネスブック、ワールドレコード等とはいっさい関係ありません。わたしが勝手にこのブログ内で付けたあだ名です)だった。
ギネスは、小学生から10代の終わりくらい、社会人になってからちょっとのあいだまでのつき合いだった。
それ以降、おれから連絡を取ろうとしたのだが、ついにつかずじまいで終わってしまった。
ギネスは小学生のころから、いわゆる「戦記マニア」だった。ドイツ軍、とかGIジョー、とかそういった単語をよく口にしていた。
おれは、嫌いではないけど門外漢なので、そういう話はおとなしく聞くことにしていた。
しかしそんなかれが、社会人になってから、小規模ではあったそうだが、ある平和思想団体に加入することになるのだから、皮肉なものだ。
おれも何度かその会合に誘われたことがある。おれはその当時、かれよりも早く、ある宗教団体に所属していた。
(追記。今現在では退会届こそ出していませんが、自分のなかでは、とうの昔に辞めたつもりです。ちなみにこの団体に引きずり込んだのが、過去記事にも何度か出した「ケー」です)
かれがおれを誘うたびに、
「おまえ、以前おれがおれの団体に(ウエのやつから言われて、やむなくおまえを)勧誘したら、あとでボロクソにけなした挙句、ことわったくせに、よくそんなことができるな」
と、イヤミを言ってやると、かれがそのたび苦笑いを浮かべていたのも、今ではなつかしい想い出である。
ちなみにおれは、かれの会合に行ったことは一度もなかった。
・・・話を戻す。
ちなみにモヒカンとギネスは、現実世界に於いては、接点はいっさいなかった。
ただ、この小さな工場で、モヒカンが上司、ギネスは同僚といったところなのだろうと思う。
ギネスは言う。
自分はマンガ家としても成功していて、このたび自分の描いた単行本が(自費出版ではなく)刊行されたので、ぜひ読んでくれとおれたち二人に懇願する。
工場の一隅に勝手に書店コーナーみたいな店を広げ、手に取って薦める。
読んでみると、なかなかおもしろい。おれもモヒカンもそう感心していたが、
「どっかで読んだことある内容だな・・・」
と違和感を覚え、もう一度よく見ると、藤子A先生の「笑ウせぇるすまん(旧題「黒イせぇるすまん」・・・もっと旧題「(同)せえるすまん」、あ~、しつこい!(笑)」そっくりそのままではないか!
「なんだおまえ、もろパクリ、盗作じゃねーかよ!(笑) こんな有名どころ盗作したんじゃ、いっぺんでバレるぞ」
と、三人で笑い合ったところあたりで目がさめた。(完)
・・・ギネスが戦記マニアというのは前述したとおりですが、じつは、かれが、映画「プラトーン」(過去記事「レッドクロスとプラトーン」にも出てきましたが)を観に誘ってくれたんですよ。若かりしころに。
あの映画は良かったです。もっとも戦争映画って、これ一本しか観たことないんですけど。
主演の、チャーリー・シーンさん、新兵役、での熱演、感動ものだったんですけど、昨今の性的スキャンダル、というかカミングアウトでちょっとがっかりです(苦笑)
「・・・ぼくの戦争は終わった。
だが、想い出は一生残るだろう。
バーンズとエリアスの反目はいつまでも続くだろう。時としてぼくは、かれらの間の子だったような気さえする。
ともあれ、ぼくら生き残りには義務がある。
戦争の悲惨さを、語り継ぐことで、次代、後世に残していくということだ・・・」
・・・主人公、クリス青年が、一年間の兵役を終え、祖国で自分の帰りを待っている祖母に宛てた手紙より、大意抜粋。
シリア、トルコ他、周辺国では、空爆などの悲惨で残酷な行為が今この瞬間でも行われているのでしょうか。
巻き込まれるのはいつも、民衆。
・・・「あなたはとんでもない勘違いをしている。今の、あの荒々しい、乱暴な血まみれの神が「平和の神」なんですよ」
「するとあの隅っこでジッとおとなしくしているのが・・・」
「あれが「戦争の神」
なるべく問題を起こさないようにおとなしくしているのですが、人間というのは勝手に戦争をどんどん起こすので、神にも手がつけられないのですよ。「平和の神」ほど忙しく、しかし報われない神はほかにいないので、みんなからいちばん同情されているんです」
主人公エヌ氏が「クーラーの神様」に、天国(神々の世界)に連れて行ってもらって、そこで説明を受けているシーンより、これまた大意抜粋です。
・・・星 新一 先生・著「ひとにぎりの未来」収録「平和の神」より。
小さな工場、あるいは倉庫らしき建物の中に、おれは、いる。
ツレが二人いた。「モヒカン」(かれについては、過去記事「モヒカン」で検索して参照していただくと、よりわかりやすいかと思います)と、今回初登場の「ギネス」(仮名。言うまでもないことですが、ギネスブック、ワールドレコード等とはいっさい関係ありません。わたしが勝手にこのブログ内で付けたあだ名です)だった。
ギネスは、小学生から10代の終わりくらい、社会人になってからちょっとのあいだまでのつき合いだった。
それ以降、おれから連絡を取ろうとしたのだが、ついにつかずじまいで終わってしまった。
ギネスは小学生のころから、いわゆる「戦記マニア」だった。ドイツ軍、とかGIジョー、とかそういった単語をよく口にしていた。
おれは、嫌いではないけど門外漢なので、そういう話はおとなしく聞くことにしていた。
しかしそんなかれが、社会人になってから、小規模ではあったそうだが、ある平和思想団体に加入することになるのだから、皮肉なものだ。
おれも何度かその会合に誘われたことがある。おれはその当時、かれよりも早く、ある宗教団体に所属していた。
(追記。今現在では退会届こそ出していませんが、自分のなかでは、とうの昔に辞めたつもりです。ちなみにこの団体に引きずり込んだのが、過去記事にも何度か出した「ケー」です)
かれがおれを誘うたびに、
「おまえ、以前おれがおれの団体に(ウエのやつから言われて、やむなくおまえを)勧誘したら、あとでボロクソにけなした挙句、ことわったくせに、よくそんなことができるな」
と、イヤミを言ってやると、かれがそのたび苦笑いを浮かべていたのも、今ではなつかしい想い出である。
ちなみにおれは、かれの会合に行ったことは一度もなかった。
・・・話を戻す。
ちなみにモヒカンとギネスは、現実世界に於いては、接点はいっさいなかった。
ただ、この小さな工場で、モヒカンが上司、ギネスは同僚といったところなのだろうと思う。
ギネスは言う。
自分はマンガ家としても成功していて、このたび自分の描いた単行本が(自費出版ではなく)刊行されたので、ぜひ読んでくれとおれたち二人に懇願する。
工場の一隅に勝手に書店コーナーみたいな店を広げ、手に取って薦める。
読んでみると、なかなかおもしろい。おれもモヒカンもそう感心していたが、
「どっかで読んだことある内容だな・・・」
と違和感を覚え、もう一度よく見ると、藤子A先生の「笑ウせぇるすまん(旧題「黒イせぇるすまん」・・・もっと旧題「(同)せえるすまん」、あ~、しつこい!(笑)」そっくりそのままではないか!
「なんだおまえ、もろパクリ、盗作じゃねーかよ!(笑) こんな有名どころ盗作したんじゃ、いっぺんでバレるぞ」
と、三人で笑い合ったところあたりで目がさめた。(完)
・・・ギネスが戦記マニアというのは前述したとおりですが、じつは、かれが、映画「プラトーン」(過去記事「レッドクロスとプラトーン」にも出てきましたが)を観に誘ってくれたんですよ。若かりしころに。
あの映画は良かったです。もっとも戦争映画って、これ一本しか観たことないんですけど。
主演の、チャーリー・シーンさん、新兵役、での熱演、感動ものだったんですけど、昨今の性的スキャンダル、というかカミングアウトでちょっとがっかりです(苦笑)
「・・・ぼくの戦争は終わった。
だが、想い出は一生残るだろう。
バーンズとエリアスの反目はいつまでも続くだろう。時としてぼくは、かれらの間の子だったような気さえする。
ともあれ、ぼくら生き残りには義務がある。
戦争の悲惨さを、語り継ぐことで、次代、後世に残していくということだ・・・」
・・・主人公、クリス青年が、一年間の兵役を終え、祖国で自分の帰りを待っている祖母に宛てた手紙より、大意抜粋。
シリア、トルコ他、周辺国では、空爆などの悲惨で残酷な行為が今この瞬間でも行われているのでしょうか。
巻き込まれるのはいつも、民衆。
・・・「あなたはとんでもない勘違いをしている。今の、あの荒々しい、乱暴な血まみれの神が「平和の神」なんですよ」
「するとあの隅っこでジッとおとなしくしているのが・・・」
「あれが「戦争の神」
なるべく問題を起こさないようにおとなしくしているのですが、人間というのは勝手に戦争をどんどん起こすので、神にも手がつけられないのですよ。「平和の神」ほど忙しく、しかし報われない神はほかにいないので、みんなからいちばん同情されているんです」
主人公エヌ氏が「クーラーの神様」に、天国(神々の世界)に連れて行ってもらって、そこで説明を受けているシーンより、これまた大意抜粋です。
・・・星 新一 先生・著「ひとにぎりの未来」収録「平和の神」より。