異色階段
この間の「スリッパ」の続編というわけではないのですが。
予告したヤツを。
……前述した、わたしの卒業した小学校の、ひんぱんに児童たちが出入りする棟には、3つの階段がある。
西、中央、東、という具合に。
このうち、西と中央は、明るい縦縞の白と薄茶色の模様で塗装されている。床も、違う色だが、まあふつうに明るい色だ(ったと思う)
しかし、東階段だけが青なのである。
それもライトブルーではなくディープブルーなのだ。テレビ、映画などで見る、深海の色のような。
蛍光灯もついてはいるが、あまりに色彩が濃いため、弱々しく映ってしまう。
では、なぜそこだけ、そのような色にしなければならなかったのか?
勘の鋭いかたはすでに得心したかもしれない。
開設当時、その東階段で、不幸な事故が起きたらしいのだ。
わたしも人から聞いた話で、真偽のほどは定かではないことをお断りしておく。
西と中央の塗装作業を終えた後、東に差し掛かったところで(あるいは複数での同時進行だったかもしれない)脚立に乗って作業をしていた職人が、何かに滑ったのか、頭から墜ちてしまったのだ!
それで、ケガがたいしたことがなければ、どうということもなかったのだが、その職人氏が死亡してしまったのである。
頭から大量出血したらしい。ヘルメットを被っていなかったのかわたしにはわからない。
そして、おそらくは現場検証、遺体の運び出し、清掃、供養をした後だろうが、作業を再開することになった。
しかし、同じ色で塗装しても、どうしてもそこの血痕部分が浮かび上がってきてしまったらしい。何度上塗りしても。
新学期つまり工事期限も迫ってきた。そこでやむなく苦肉の策として、それを隠す意味で、青にしたのではないか、と、当時の在学生のわれわれには言い伝えられていた。
夏休み、学校で教師、PTA有志同伴で、肝だめし会が開かれたことがある。
その時、おそらくは誰かの悪質ないたずらだろうが、その青階段の壁に、ロウか何かで描いたと思われるが、ペンキを塗っている人型のようなものが浮かび上がっていたりした。
何人かがいっせいに、悲鳴をあげながら、階段を駆け下りてきた。
どうした、と誰かが聞いたら、誰もいないはずの壁の中(!)から、男の苦しそうなうめき声がしてきた!とかれらが真っ青な、それこそ階段のような顔色で、異口同音に応えたという。
果たして職人氏の亡霊か? 死者をボウトクするようなバカ騒ぎしやがって!との怒りの抗議?
それとも、これも、かれらが打ち合わせた上でのヤラセだったのかは定かではない。
なにせわたしも階下で待っていたクチなので。
……学校は今も運営されて児童たちは通学している。
卒業してもう、ウン十ウン年も経つが、あの階段はあの頃のままなのか、わたしにはわからない。
予告したヤツを。
……前述した、わたしの卒業した小学校の、ひんぱんに児童たちが出入りする棟には、3つの階段がある。
西、中央、東、という具合に。
このうち、西と中央は、明るい縦縞の白と薄茶色の模様で塗装されている。床も、違う色だが、まあふつうに明るい色だ(ったと思う)
しかし、東階段だけが青なのである。
それもライトブルーではなくディープブルーなのだ。テレビ、映画などで見る、深海の色のような。
蛍光灯もついてはいるが、あまりに色彩が濃いため、弱々しく映ってしまう。
では、なぜそこだけ、そのような色にしなければならなかったのか?
勘の鋭いかたはすでに得心したかもしれない。
開設当時、その東階段で、不幸な事故が起きたらしいのだ。
わたしも人から聞いた話で、真偽のほどは定かではないことをお断りしておく。
西と中央の塗装作業を終えた後、東に差し掛かったところで(あるいは複数での同時進行だったかもしれない)脚立に乗って作業をしていた職人が、何かに滑ったのか、頭から墜ちてしまったのだ!
それで、ケガがたいしたことがなければ、どうということもなかったのだが、その職人氏が死亡してしまったのである。
頭から大量出血したらしい。ヘルメットを被っていなかったのかわたしにはわからない。
そして、おそらくは現場検証、遺体の運び出し、清掃、供養をした後だろうが、作業を再開することになった。
しかし、同じ色で塗装しても、どうしてもそこの血痕部分が浮かび上がってきてしまったらしい。何度上塗りしても。
新学期つまり工事期限も迫ってきた。そこでやむなく苦肉の策として、それを隠す意味で、青にしたのではないか、と、当時の在学生のわれわれには言い伝えられていた。
夏休み、学校で教師、PTA有志同伴で、肝だめし会が開かれたことがある。
その時、おそらくは誰かの悪質ないたずらだろうが、その青階段の壁に、ロウか何かで描いたと思われるが、ペンキを塗っている人型のようなものが浮かび上がっていたりした。
何人かがいっせいに、悲鳴をあげながら、階段を駆け下りてきた。
どうした、と誰かが聞いたら、誰もいないはずの壁の中(!)から、男の苦しそうなうめき声がしてきた!とかれらが真っ青な、それこそ階段のような顔色で、異口同音に応えたという。
果たして職人氏の亡霊か? 死者をボウトクするようなバカ騒ぎしやがって!との怒りの抗議?
それとも、これも、かれらが打ち合わせた上でのヤラセだったのかは定かではない。
なにせわたしも階下で待っていたクチなので。
……学校は今も運営されて児童たちは通学している。
卒業してもう、ウン十ウン年も経つが、あの階段はあの頃のままなのか、わたしにはわからない。
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