浮かんだ顔
またもわたしの小学校シリーズ、第4弾です。
えっ? いいかげんしつこい? まあそうおっしゃらずお付き合いくださいな(笑)
なぜか小学校二年生の時が比較的多いです。
……兄がいた。むろんわたしの。
その兄と同学年の児童がいた。名を仮にZとしておく。
ゼットは、兄と特に親しかったというわけでもなかった。
そしてこれまたどういうわけか、わたしはそのゼットに一、二度からかわれたかいじめられたかした記憶が、おぼろげながらある。 いや、それを今でも恨んでるということではない。そんなことがあったから、少しは印象に残っていた、ということだ。
とにかくそのゼットが、週末の休みか夏休みだか覚えていないが、家族旅行で、とある温泉に出かけたらしい。
そこで惨事は起きてしまった。
その温泉は混浴ではなく、まあ、ある意味、当たり前だが、性別で湯殿が分かれている。
家族はみな風呂を済ませ、それまで遊びほうけていたのか、ゼットだけが残った。
(ここから先は、わたしの想像も多分に含まれることを、あらかじめおことわりしておく)
ゼットが湯殿に向かおうとすると、番頭だかに呼び止められた。
「今、男湯は清掃中でして。申し訳ないんですが、女湯にどなたも入っていらっしゃらないようなので、そちらにお願いできますか?」
と言われたのかどうかわからないが、とにかく女湯に入ってくれと頼まれたらしい。
大人の男だったらうれしいハプニングを期待して、いそいそと女湯にとびこむかもしれない。
しかしそこはまだ、いたいけな、はずかしがりやの小学生の男の子。
いやいやながら、おそらくは、逆らえずに入ったのではあるまいか。
しばらくして、ゼットが風呂場で遺体となって発見されたそうである。
死因は心臓麻痺だったらしい。
それは、翌日くらいの某有名新聞の、片隅に掲載された。
そのことから1週間くらい経ったころ。
わたしの教室から一番近いトイレの小便器の壁に、男性の顔を思わせる模様のようなものが、浮かび上がって、しかも落とそうとしても、なかなか落ちなかったらしい。
「死んだゼットに似ている」
「そうだ。きっとあれは、若くして死んでいった、くやしくて死にきれないゼットの幽霊のしわざだ」
などのうわさが飛び交った。
しかしそれだと矛盾が出てくる。
ゼットは前述したように、わたしの兄と同い年であって、わたしとは学年が違うのだ。
従って、わたしの学年のトイレに化けて出るとしたら、おかしくなってくる。
ちなみにわたしと同学年にゼットの弟、妹がいる、というわけでもない。
きっとまた誰かの悪質ないたずらだったんでしょうな。
おそらく、家から親父さんのカーワックスでも持ち出して、描いたんだろう。
デッサンは、妙に小学生にしては、うまかったような気もしたが。
それにしても、おれが通ってた学校、こーゆー(悪質ないたずら好きな)ヤツ多かったなー。あー嘆かわしや。
……とゆー、おハナシ。
お粗末でげした。しかしおどけてるわけではなく、すべて実話です。
私事で恐縮ですが、この場を借りて(いまさらながら、ですが)謹んでゼット氏のご冥福を祈念させていただきます。
えっ? いいかげんしつこい? まあそうおっしゃらずお付き合いくださいな(笑)
なぜか小学校二年生の時が比較的多いです。
……兄がいた。むろんわたしの。
その兄と同学年の児童がいた。名を仮にZとしておく。
ゼットは、兄と特に親しかったというわけでもなかった。
そしてこれまたどういうわけか、わたしはそのゼットに一、二度からかわれたかいじめられたかした記憶が、おぼろげながらある。 いや、それを今でも恨んでるということではない。そんなことがあったから、少しは印象に残っていた、ということだ。
とにかくそのゼットが、週末の休みか夏休みだか覚えていないが、家族旅行で、とある温泉に出かけたらしい。
そこで惨事は起きてしまった。
その温泉は混浴ではなく、まあ、ある意味、当たり前だが、性別で湯殿が分かれている。
家族はみな風呂を済ませ、それまで遊びほうけていたのか、ゼットだけが残った。
(ここから先は、わたしの想像も多分に含まれることを、あらかじめおことわりしておく)
ゼットが湯殿に向かおうとすると、番頭だかに呼び止められた。
「今、男湯は清掃中でして。申し訳ないんですが、女湯にどなたも入っていらっしゃらないようなので、そちらにお願いできますか?」
と言われたのかどうかわからないが、とにかく女湯に入ってくれと頼まれたらしい。
大人の男だったらうれしいハプニングを期待して、いそいそと女湯にとびこむかもしれない。
しかしそこはまだ、いたいけな、はずかしがりやの小学生の男の子。
いやいやながら、おそらくは、逆らえずに入ったのではあるまいか。
しばらくして、ゼットが風呂場で遺体となって発見されたそうである。
死因は心臓麻痺だったらしい。
それは、翌日くらいの某有名新聞の、片隅に掲載された。
そのことから1週間くらい経ったころ。
わたしの教室から一番近いトイレの小便器の壁に、男性の顔を思わせる模様のようなものが、浮かび上がって、しかも落とそうとしても、なかなか落ちなかったらしい。
「死んだゼットに似ている」
「そうだ。きっとあれは、若くして死んでいった、くやしくて死にきれないゼットの幽霊のしわざだ」
などのうわさが飛び交った。
しかしそれだと矛盾が出てくる。
ゼットは前述したように、わたしの兄と同い年であって、わたしとは学年が違うのだ。
従って、わたしの学年のトイレに化けて出るとしたら、おかしくなってくる。
ちなみにわたしと同学年にゼットの弟、妹がいる、というわけでもない。
きっとまた誰かの悪質ないたずらだったんでしょうな。
おそらく、家から親父さんのカーワックスでも持ち出して、描いたんだろう。
デッサンは、妙に小学生にしては、うまかったような気もしたが。
それにしても、おれが通ってた学校、こーゆー(悪質ないたずら好きな)ヤツ多かったなー。あー嘆かわしや。
……とゆー、おハナシ。
お粗末でげした。しかしおどけてるわけではなく、すべて実話です。
私事で恐縮ですが、この場を借りて(いまさらながら、ですが)謹んでゼット氏のご冥福を祈念させていただきます。