「麗し」の兄から
前回の話の、その麗しの君のEなんですが(ちなみに、私のこれまでの話に登場してくる人物たちは、アルファベッド順に使ってるだけで、イニシャル等、いっさい関係ありません)後日談があるんですよ。
といいますのは、現実の彼女には、お兄さんがいる、と本人が言ってました。
私は、卒業後も何度か彼女に電話してみて、デートを申し入れてみたんですが、結局ダメでした(それだけ好きだった、ってことなんですけどね)
あげくの果ては、電話口にお父さんは出てくるわ、その当時彼女がつき合っていた彼氏が、私のことを待ち伏せしてるとかで、まるっきりストーカー扱いでした。
今じゃストーカーなんて言葉も古びてますけど、そのころはその言葉さえ一般化されてなかったものです。
ここでひとつ言っておきたいんですが、私は彼女に彼氏がいるのを知っていたら、その時点でいっさいのつながりを自ら断ち切っていた、と断言できたつもりです。未練たらしいですから。
彼氏うんぬんのことを教えてくれたのは、友人のFでした。
当時、Fは今でいうひきこもりで、そのころ、私が彼女についての悩みを打ち明けると、おれが話を聞いてやる、とか言って、彼女の自宅の電話番号を私から聞きだしたんです。まあなんか、ひまつぶしと、おもしろがってる節がありましたが。
で、彼氏うんぬんのことを私が知った、というわけなんですよ。
Fはごていねいにも、その彼女とのはずんだ会話テープを、エンエン、聞かせてくれたものでした(ジェラシー混じりの、苦笑)
「……でね、だってあのひと(私のこと)、飲み会で、他の女の子に抱きついたりしてたんだよ!(私のこと好きだって言ってたのに)そんなの許せないじゃない!」
みたいなことを彼女がFにグチってたのを、決定的に思い、もうやめようと思いました。
私は酔っ払うと、その当時から多少、羽目をはずしてしまうところがありましたから、当時から。
そのころはおそらく、そういう行為に関して厳粛な彼女には(少しは私のことが気になっていたからなんでしょうけど)許せなかったんでしょうな。
まあ、それはそれでいいんです、過ぎ去ったことですから。
言いたかったことはこれからが本編です。
それから1、2年たって、ある日曜日。私が出先から帰ってくると、家人が、
「何回も同じ人から電話があったよ。『Eの兄って言えばわかる』って」
と、報告。
なにィ? なんでいまさら? ……まさか、今になって、
「これまでいろいろあったらしいけど、妹は、やっぱりあなたのことが一番好きだった、と言っています。どうか妹のこと、よろしくお願いします」
みたいなこと言うのかしらん。いや~、だとしたらどうしようかな~。おれ、今つき合ってる女いないけど、いるから、ごめんなさい、ってことにしとこうかな~、いや~もてる男はつらいぜ……と、すっかりナルチャン(ナルシスト)になってると、そのうちまた電話の音。
家人が出る。
「ほら、さっき話した人だよ」
と、送話口を押さえながら家人。
「はい、もしもし」
と、ニッタら顔でそのまま電話に出る私。
すると、少し間があって、
「……オウ!」
と男のすごむ声! めんくらった私は、ビビりながらも、
「な、なんだテメェ! おめえから電話してきてその態度はなんだ!」
相手の出方を待ちましたが、そのうち無言で切ってしまいました。
数十秒後、再び電話。
受話器をとって、間髪いれず、
「テメェ、E(の兄)だろ! また電話してきたら乗りこむぞ!」
と、せいいっぱいのおどし文句。これまた相手は無言で切る。(注。その当時からナンバーディスプレイ機能のついた電話はあったのかもしれませんが、ウチの電話は付いてませんでした)
それからもう一回あったんですが、こちらもなにも言わないと、そのまま切ってしまいました。
あの電話はなんだったのかいまだにわかりません。ほんとうにEの兄だったんでしょうか? ちなみにその当時のクラスメートで、私の自宅の電話番号を知っている人はEのみだったんです。というのも私、当時(苦学生?として)下宿してたもんでして。名簿には下宿先の電話番号しか載せてなかったんですよ。
その学校は二年制で、彼女は一年時のクラスメート。私とあと他の二、三人は二年時はとなりのひとつ上のクラスに移されてしまったんです。途中退校するヤツもけっこういましたから。
もう今となっては彼女の電話番号もわかりませんし、仮にわかったとしても接触しようとは思いませんが。彼女も生きていればとっくに結婚して、幸せな家庭を築いていることでしょう。
その(電話事件の)しばらく後に、彼女が夢に出てきたんですよ。悲しそうな顔をして、ひとこともしゃべらなかったんですが。
もうすでにこの世を去っている人が夢に出てきたとき、その人は無口でいることが多い、って、むかし読んだ夢占いの本に書いてありました。言い得て妙だな、と思って。たんに私がそういう夢を見たってコトだけですけど……想像をふくらませると……。
妹思いの兄がいた。そのかわいい大切な妹が、不測の事態で若死にしてしまった。兄はそのやるせない思いを、妹の生前、ちょっかいを出していた男にヤツあたり電話をすることで、気をまぎらすのであった……。
そんなとこかなあ……ずいぶん私に都合のいい解釈ですけどね!(笑)
ちなみに、クラスでの双方の存在はというと、彼女がマドンナ(あるいはレディー・ガガ?そういう問題じゃないって?)的存在、私はというと、やや内向的ではあるが、いちおうお笑い担当、みたいな感じでしたかね。
といいますのは、現実の彼女には、お兄さんがいる、と本人が言ってました。
私は、卒業後も何度か彼女に電話してみて、デートを申し入れてみたんですが、結局ダメでした(それだけ好きだった、ってことなんですけどね)
あげくの果ては、電話口にお父さんは出てくるわ、その当時彼女がつき合っていた彼氏が、私のことを待ち伏せしてるとかで、まるっきりストーカー扱いでした。
今じゃストーカーなんて言葉も古びてますけど、そのころはその言葉さえ一般化されてなかったものです。
ここでひとつ言っておきたいんですが、私は彼女に彼氏がいるのを知っていたら、その時点でいっさいのつながりを自ら断ち切っていた、と断言できたつもりです。未練たらしいですから。
彼氏うんぬんのことを教えてくれたのは、友人のFでした。
当時、Fは今でいうひきこもりで、そのころ、私が彼女についての悩みを打ち明けると、おれが話を聞いてやる、とか言って、彼女の自宅の電話番号を私から聞きだしたんです。まあなんか、ひまつぶしと、おもしろがってる節がありましたが。
で、彼氏うんぬんのことを私が知った、というわけなんですよ。
Fはごていねいにも、その彼女とのはずんだ会話テープを、エンエン、聞かせてくれたものでした(ジェラシー混じりの、苦笑)
「……でね、だってあのひと(私のこと)、飲み会で、他の女の子に抱きついたりしてたんだよ!(私のこと好きだって言ってたのに)そんなの許せないじゃない!」
みたいなことを彼女がFにグチってたのを、決定的に思い、もうやめようと思いました。
私は酔っ払うと、その当時から多少、羽目をはずしてしまうところがありましたから、当時から。
そのころはおそらく、そういう行為に関して厳粛な彼女には(少しは私のことが気になっていたからなんでしょうけど)許せなかったんでしょうな。
まあ、それはそれでいいんです、過ぎ去ったことですから。
言いたかったことはこれからが本編です。
それから1、2年たって、ある日曜日。私が出先から帰ってくると、家人が、
「何回も同じ人から電話があったよ。『Eの兄って言えばわかる』って」
と、報告。
なにィ? なんでいまさら? ……まさか、今になって、
「これまでいろいろあったらしいけど、妹は、やっぱりあなたのことが一番好きだった、と言っています。どうか妹のこと、よろしくお願いします」
みたいなこと言うのかしらん。いや~、だとしたらどうしようかな~。おれ、今つき合ってる女いないけど、いるから、ごめんなさい、ってことにしとこうかな~、いや~もてる男はつらいぜ……と、すっかりナルチャン(ナルシスト)になってると、そのうちまた電話の音。
家人が出る。
「ほら、さっき話した人だよ」
と、送話口を押さえながら家人。
「はい、もしもし」
と、ニッタら顔でそのまま電話に出る私。
すると、少し間があって、
「……オウ!」
と男のすごむ声! めんくらった私は、ビビりながらも、
「な、なんだテメェ! おめえから電話してきてその態度はなんだ!」
相手の出方を待ちましたが、そのうち無言で切ってしまいました。
数十秒後、再び電話。
受話器をとって、間髪いれず、
「テメェ、E(の兄)だろ! また電話してきたら乗りこむぞ!」
と、せいいっぱいのおどし文句。これまた相手は無言で切る。(注。その当時からナンバーディスプレイ機能のついた電話はあったのかもしれませんが、ウチの電話は付いてませんでした)
それからもう一回あったんですが、こちらもなにも言わないと、そのまま切ってしまいました。
あの電話はなんだったのかいまだにわかりません。ほんとうにEの兄だったんでしょうか? ちなみにその当時のクラスメートで、私の自宅の電話番号を知っている人はEのみだったんです。というのも私、当時(苦学生?として)下宿してたもんでして。名簿には下宿先の電話番号しか載せてなかったんですよ。
その学校は二年制で、彼女は一年時のクラスメート。私とあと他の二、三人は二年時はとなりのひとつ上のクラスに移されてしまったんです。途中退校するヤツもけっこういましたから。
もう今となっては彼女の電話番号もわかりませんし、仮にわかったとしても接触しようとは思いませんが。彼女も生きていればとっくに結婚して、幸せな家庭を築いていることでしょう。
その(電話事件の)しばらく後に、彼女が夢に出てきたんですよ。悲しそうな顔をして、ひとこともしゃべらなかったんですが。
もうすでにこの世を去っている人が夢に出てきたとき、その人は無口でいることが多い、って、むかし読んだ夢占いの本に書いてありました。言い得て妙だな、と思って。たんに私がそういう夢を見たってコトだけですけど……想像をふくらませると……。
妹思いの兄がいた。そのかわいい大切な妹が、不測の事態で若死にしてしまった。兄はそのやるせない思いを、妹の生前、ちょっかいを出していた男にヤツあたり電話をすることで、気をまぎらすのであった……。
そんなとこかなあ……ずいぶん私に都合のいい解釈ですけどね!(笑)
ちなみに、クラスでの双方の存在はというと、彼女がマドンナ(あるいはレディー・ガガ?そういう問題じゃないって?)的存在、私はというと、やや内向的ではあるが、いちおうお笑い担当、みたいな感じでしたかね。
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